五箇条の御誓文
五箇条の御誓文(ごかじょうのごせいもん)とは1868年に明治天皇が示した新政府の基本方針です。
公議世論公議(公平に議論・世論)の尊重、先進国の文明の吸収などが述べられています。
これにより、日本が近代的な立憲国家として発展していく方向が切り開かれました。
一 広ク会議ヲ興シ 万機公論ニ決スベシ
(広く会議を開いて、すべての政治は、世論に従い決定するべき)
一 上下心ヲ一ニシテ 盛ニ経綸ヲ行ウベシ
(治める者と人民が心をひとつにして 盛んに国家統治の政策を行うべき)
一 官武一途庶民ニ至ル迄 各其志ヲ遂ゲ 人心ヲシテウマサラシメンコトヲ要ス
(公家と武家が一体となり、庶民にいたるまで、志をとげ、人々の心をあきさせないことが必要)
一 旧来ノ陋習ヲ破リ 天地ノ公道ニ基クベシ
(古い悪習を破り 国際法に基づくべき)
一 智識ヲ世界ニ求メ 大ニ皇貴ヲ振起スベシ
(知識を世界に求め、おおいに天皇政治の基礎を盛んにすべき)
戦後の御誓文
戦後、昭和21年(1946年)1月1日の昭和天皇の、いわゆる人間宣言において御誓文の全文が引用されている。
昭和天皇は幣原喜重郎首相が作成した草案を初めて見た際に、「これで結構だが、これまでも皇室が決して
独裁的なものでなかったことを示すために、明治天皇の五箇条の御誓文を加えることはできないだろうか」と述べ、
GHQの許可を得て急遽加えられることになった。天皇は後に「それが実は、あの詔書の一番の目的であって、
神格とかそういうことは二の問題でした。(中略)民主主義を採用したのは明治大帝の思召しである。しかも神に誓われた。
そうして五箇条御誓文を発して、それが基となって明治憲法ができたんで、民主主義というものは決して輸入物ではない
ということを示す必要が大いにあったと思います。」— 昭和52年(1977年)8月23日記者会見